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Fanfiction 二次創作 封印の地|2001年エイプリルフール

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第3層 カヴァロ解放 ~外伝~

「着きましたよ。」
ミッシェルが言った。
アヴィンは恐る恐る目を開けた。

「うわっ。」
そこは目も眩むような断崖絶壁に突き出した岩場だった。
バランスを崩したらひとたまりもないだろう。
「これは・・・。」
あたりを見渡して、アヴィンは言葉を失った。
眼下に見下ろす大地には、底の見えない深い亀裂が
はるか地平まで続いていた。

アヴィンはしがみ付いていたミッシェルの体から、ゆっくり離れた。
アヴィンの故郷でもよくうわさされる場所。
誰もその姿を見た事がないという幻の場所・・・。
「これは、ガガーブ?」
アヴィンはミッシェルを振り返った。
ミッシェルが頷いた。
「すごい・・・こんな場所があったなんて。」
アヴィンは身を乗り出そうとした。

ミッシェルがアヴィンの横に並んだ。
心配だと言わんばかりに、背中に腕を回す。
「俺たちの故郷はあんなに近かったんだな。」
二つに裂けた大地を見つめ、アヴィンの声が興奮している。
「ガガーブさえなければ、俺たちは一つの世界で暮らせたのに。」
アヴィンの言葉が胸にしみる。
「一つの世界だったら、出会えなかったかも知れませんよ?」
「そんなことないさ。」
アヴィンが身をよじってミッシェルを見た。
「俺は、きっと出会えたと思うよ。」
真っ直ぐな瞳に、心を射られる。
そうかもしれないと思わされる。
胸に込み上げた思いは言葉にはならず、
ミッシェルは笑顔を浮かべてアヴィンを見た。

アヴィンが再び前を向いた。
「あれがミッシェルさんの世界。」
あこがれのこもった言葉。
胸を熱くさせる、自分への思慕の言葉。
ミッシェルは背中に回した腕に力を込めた。
アヴィンの体が倒れこんできた。
そして二人は、いつまでも世界の淵にたたずんでいた。


遠出のついでにちょっと寄り道。
いえ、カヴァロ本編ではこんな寄り道していません。
ふっと魔が差しました(笑)。

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