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Fanfiction 二次創作 封印の地|光の宵-見返り美人

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月光の宵-見返り美人

来夏様から素敵なお話をいただきました~v

真夜中に、ふと目が覚めた。
そんな時間に目が覚めた理由。
(一体……)
月明かりの中、ぼんやりした頭で記憶を探ろうとした時。
腕の中でもぞもぞと動きだした、その「理由」。
「あ、起こしちゃったか?」
ばつが悪そうに見上げてくる碧色の瞳。
「いえ、そんなことはいいんですけどね」
笑い返して、以前より少し伸びた髪を梳く。
久しぶりのぬくもりを手放したくなくて、抱きしめて眠りについたのが昨夜。
普段より早い眠りは、精一杯の自制でもあったのだけれど。
(あまり無理をさせたくはないですからね)
朝に起き出せない彼を見るのはつらかったから。
だから、ゆっくりと時間をかけて、隅々までを指でたどった。
それから。
(……ああ)
思わず、手のひらで顔を覆う。
自制していたつもり、だったのかもしれない。
今回は珍しく数日間ここにいられる。
だから……。
そんな自己嫌悪に陥りかけた手首をふいにつかまれ、我に返る。
「どうしました?」
顔をのぞき込むと、言いにくそうに口ごもった後、彼は続ける。
「あのさ、ちょっとだけ腕をはなしてくれないか? 喉が乾いたから、水を飲んできたいんだ」
「ああ、すみません」
苦笑して、抱きしめていた腕をゆるめる。
そして彼が起きあがるより早く、ベッドから降りて床に足をついた。
「ミッシェルさん?」
怪訝そうな顔をする彼の頭を軽くなでて、立ち上がる。
「水なら持ってきてあげます。あなたはゆっくりしていてください」
「……うん」
そろそろと横になる彼の頭をもう一度なでて、上着をはおった。


水を満たしたグラスを手に戻ると、彼はベッドの上で身体を起こしていた。
「おかえり」
振り向いて微笑う彼の姿に、一瞬声が出なかった。
素肌に纏っていたらしいシーツは肩から落ち、月光を受けて淡い光を放っているよう。
無防備にさらされた肌は、さっきまで抱きしめていたはずのものなのに。
どうして今さら。
初めての時のように。
(こんなに……)
鼓動が早くなっている。
そのおかしさに苦笑しながら、彼の隣に腰を下ろす。
持っていたグラスを、見上げてくる彼に手渡そうとした。
だが、彼は黙って首を振る。
「アヴィン?」
首を傾げると、彼はそっと指で唇に触れてきた。
なぞるような動きと、見つめてくる潤んだ瞳。
「飲ませてくれるんだろ?」
聞こえてきた、囁くような甘い声。
どきりとしなかった、といえば嘘になる。
その指と、その囁きと。
それは、さっきまで自制しようとしていたことが、まったく意味のないことのように思えてくるほど。
(……もう、限界ですね)
そう、きっと彼はそれを望んでいる。
そしておそらくは、自分も。
だから。
心の中で詫びてから、彼の肩を抱き寄せる。
「後悔はしませんね?」
少し迷いを含んだ問いかけ。
しかし返ってきたのは、痛いくらいに真っ直ぐな眼差しだった。


白状しますと、この素敵なお話をいただいたのは、5月だったりします・・・。
こんなに遅くなってしまって申し訳ない限りです。
その分、がんばって挿絵に色気(^^;)を付けてみました~。
おりしも中秋の名月(何ヶ月放っておいたのだ…)。
月明かりの中で読み返してみませんか?

ふふふ、煩悩全開、です。
こんな顔して待っていられたら、お預けできませんよね~v
アヴィンの甘えに、くらくらと陥ちていくミッシェルさんがたまりませんv
html作りながら読み返していて、またにやけたりして。
すてきなお話をありがとうございました。

2002.9.21

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