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Fanfiction 二次創作 封印の地|アヴィン危機一髪!

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アヴィン危機一髪!

おまけ3

窓一杯に差し込む陽光が、アヴィンの身体にも降り注いでいた。
シーツに押し付けられた頬にも、ぎゅっと握り締めたこぶしにも、暖かな太陽の恵みを浴びている。
だがアヴィンは、それら春の兆しを全く感じていなかった。
激しい息づかいに余裕はなく、不自然に折り曲げられた身体は一層彼の息の乱れを助長していた。
アヴィンの意識はただ一点に集まっていた。愛しい人と結ばれた場所に。


出張から帰ってきたミッシェルに、
「次の休みに泊まりにおいで。」
と誘われたのは数日前。
昨夜は、酒も交えて再会を喜び合った。
そしてミッシェルは、いつも通りの自重した優しさを注いでくれたのだった。
アヴィンは不安になった。
「ミッシェルさん、あの約束、忘れてしまったのか?」
アヴィンが尋ねると、
「休みはまだ二日もあるんですよ。」
と、涼しい返事が返ってきた。

そして、夜が明けて。
触れられている感触に目を覚ませば、アヴィンはすっかりミッシェルに組み敷かれていたのである。
目が合うと、年上の恋人は言った。
「約束を果たしてあげましょうね、アヴィン。」
飛び切りの優しい笑顔は、大抵いつもとんでもない事の始まりで、今朝もまた、アヴィンを混乱に陥れた。
「え・・・ちょっと待って!もうこんなに明るいのに!」
朝・・・いや、もう大概の人間は食事も終えた頃合だ。
まばゆい太陽が、高層マンション最上階のこの部屋を、小気味よいくらいに照らしていた。
「ええ。これならあなたがどんなに悦んでくれているか、見る事が出来ます。」
ミッシェルは平然と、しかも嬉しそうに答えた。
「な!!」
アヴィンは絶句した。
まさか、まさかそういう意味だったのか?
アヴィンはなけなしの知識で、最後に望まれるコトを考えていたのだ。
それは、・・・いや、違うなら別にいいのだが。

ともかく、ミッシェルにあしらわれて理性のなくなったところなど、つぶさに見られてたまるものではなかった。
「いやだ、冗談じゃない!」
アヴィンは真剣に抗議した。
「全てをゆだねてくれると言ったじゃないですか。あれは方便だったんですか?」
ミッシェルは問いただす。
「違う事だと思っていたんだ。こんな真昼間に…なんて、思わなかった!」
口にするのも恥ずかしい事に、アヴィンは真っ赤になった。
「それじゃああなたはどうしたかったの?」
「そ、それは・・・。」
アヴィンが口篭もる。
答えられない事をわざと尋ねても、アヴィンは怒ったりせず、しかも答えられずに困惑した表情を浮かべるのだ。
ミッシェルはアヴィンのそんな困った顔を見るのが好きだった。
大抵、本気で嫌がっている事はなく、ためらいや恥ずかしさが彼の本心と戦っているのである。
思案に暮れる表情は必死でかわいかったし、結論を出したときの晴れ晴れした顔は、ミッシェルをさえ嬉しくした。
「あなたとの約束をずっと楽しみにしていたんですよ?」
ミッシェルはやんわりとアヴィンを束縛した。
「それは、俺だって・・・。」
アヴィンが小さな声で答える。
ミッシェルは目を細めた。
約束の内容に思い違いがあるとは言え、アヴィンがそれを果たそうと思っているなら良いのである。

「じゃあ、アヴィンの考えていた事を当ててあげましょうか。」
ミッシェルは自分を見上げている瞳に言った。
「えっ!?」
ミッシェルは驚くアヴィンの耳元へ、唇を触れんばかりに近づけてささやいた。
「私とひとつになりたかったのでしょう?」
アヴィンが首筋まで真っ赤に染めた。
「そ、そんなっ、俺はなりたいわけじゃなくて、ただ、今までしてない事を考えていったらそう思っただけで…。」
「当たったみたいですね。」
ミッシェルはうろたえたアヴィンの顔を間近に見ながらにっこりと笑った。
「私の願いもあなたの願いも一度に叶いますね。」
「!!」
硬直したアヴィンの身体に、遠慮せずに身体を押しかぶせる。
「ちょっ、待って! やめて、ミッシェルさんっ!」
「いやです。私にも楽しませてください。」
「や、やだ、あんな顔見られたくない!」
アヴィンはミッシェルの下でもがいた。
「どうして?一緒に楽しんでいるのに、恥ずかしい事なんかないですよ。」
「だって、んあっ!」
なおも抵抗するアヴィンの口を、唇でふさぐ。腕を掴み、胸を叩き抵抗するアヴィンだったが、ミッシェルは離さなかった。
本当に本気の「いや」なら、蹴りの一発も繰り出されるところだ。
アヴィンも心の底では願っていると信じ、ミッシェルはアヴィンの背中や胸元に手を這わせた。
「やだ…ったら…。」
アヴィンの声に甘味が混じる。
力のない抵抗も、こうなってくると誘っているのと変わらない。
降り注ぐ陽の中で、ミッシェルはアヴィンの反応の一つ一つを楽しんでいった。

やがて、ミッシェルを押しのけようとしていた掌は、逆にミッシェルを求めてその背にすがり付いた。
荒い息づかいと同じリズムで、アヴィンが身体を押し付けてくる。
我を忘れたアヴィンの夢を覚まさないように、ミッシェルは様子を見ながら愛撫を加えていった。
固く目を閉じ、眉を寄せたアヴィンがいとおしくてならなかった。
寝巻きをくつろげ、じかに身体に触れると、ひくっとアヴィンが震えた。
ぎゅっと閉じられた瞳が、その時痛々しく見えて、ミッシェルは愛撫の手をとめた。
「ねえ、アヴィン。」
返事はなく、代わりに潤んだ瞳がまぶたの下から表れて、ミッシェルを見つめた。
「もしも君が本当にいやなのだったら、やめますよ?」
ミッシェルはアヴィンが理解しているのを確かめるようにゆっくりと告げた。
ややあって、アヴィンが首を左右に振った。
「…やめないで。」
「本当に?」
ミッシェルの問いに、アヴィンはうなづいた。
「ミッシェルさんがいない間、ずっと、さみしかった。俺はこうしていたい。・・・でも、すごく恥ずかしいから・・・。」
否定の声が漏れるのは羞恥心なのだとアヴィンは言った。
「わかりました…嬉しいです、アヴィン。」
ミッシェルは自分の上ずった声を初めて意識した。
抑えていなければ、今にも暴走してしまいそうだった。
ミッシェルはもどかしげにアヴィンの服を取り去った。
うわ言のようにつぶやかれる拒否の声も、もうミッシェルには聞こえなかった。
アヴィンの下肢を開かせ、ミッシェルは、今まで触れなかった場所に、くすぐるような愛撫を与えはじめた。
アヴィンが大きく身体を揺らした。押し殺した声が漏れ、彼がかなり敏感になっている事を教えていた。
「俺ばっかり、ずるい・・・。」
アヴィンが喘ぎながら言った。
ガウンの紐に手をかけ、ほどく。露わになったミッシェルの身体に、両腕を差し込んで引き寄せる。
ミッシェルの胸は高鳴った。
『もう、きっと止められない。』
例えアヴィンがやめてくれと願っても、あきらめる事は出来ないだろう。
ミッシェルは欲してやまなかったアヴィンの深部へ、探索の手を延ばしていった。


自分の熱さも、ミッシェルの熱さもわかる。
ひとつ・・・。
結ばれるってこういうことなのか。
意識が遠のきそうだった。

頬に、優しい手が触れた。
半ば無意識に、頬をこすりつけ、唇を押し付ける。
掌が、そっと撫ぜてくれた。
それから・・・

悦びと痛みと興奮が、全部ひとまとめになって身体中を暴れまわって、アヴィンの思考を途切れさせた。


「だいじょうぶ?アヴィン。」
控えめな言葉が降ってきて、アヴィンは声の方を見た。
ミッシェルが気づかわしげに覗きこんでいた。
「…痛い。」
アヴィンは照れくさそうに答えた。
「しばらく辛いかもしれませんね。優しく出来なくて…。」
ミッシェルも、言葉に詰まる。甘いものがのどに引っかかっていた。
「こんなに、夢中になってしまったのは初めてですよ。」
ミッシェルが言った。
「ミッシェルさんでも、夢中になるときがあるんだ。」
「それはもちろん。……アヴィン、これからはミッシェルで良いですよ。」
「え? でも…。」
「もう他人ではないのですからね。」
「ミッシェルさ…」
言いかけて、アヴィンは慌てて言いなおした。
「ミッシェル、ありがとう…嬉しい。」
つんと、身体の奥が痛んだ。
でもそれは二人の結びつきを教えてくれる痛みだった。
「ゆっくり休んでください。」
「うん。休みで良かった…。ミッシェル、もしかして最初からそのつもりだった?」
アヴィンが言うとミッシェルは含みのある笑いをもらした。
「時々は昼間にお相手してもらいましょうね。とても素敵でしたよ。」
「ば、馬鹿言うなっ!」
アヴィンはたちまち真っ赤になった。
すっかり気が回らなくなっていたのだ。
先ほどまでの自分を思いだして、アヴィンは顔から火が吹き出そうだった。
「俺、休む!」
アヴィンは毛布を頭からかぶった。
ほてって熱くなった頭に、ミッシェルのクスクス笑いがいつまでも響いていた。


最後の約束が果たされる時が来ました(笑)。
あえぎ声は入れたくないと思っていたので、極力避けました。
その結果、アヴィンは何度も顔を真っ赤にしていて、『パターンやな~』と突っ込みを入れられそうです。

現代にキャラクターを持ち込んだこのシリーズ、とても書いていて楽しかったですv
でも、そろそろお祭り状態は限度かな~という感じです。
また新たな物語か、さもなければ表のお話を書いていきたいと思います~。
ご愛読、ありがとうございました。

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