Fanfiction 二次創作 封印の地|真実を求めて~裏街道編~
真実を求めて~裏街道編~
プロローグ
悲しみすら映す事を忘れた瞳だった。
私に向けられたはずの薄翠の眼差しは、何も見てはいなかった。
彼の心はここになく、どこを彷徨っているかも知れなかった。
そんな彼に、私は呼びかけた。
「私と一緒に、真実の島へ行きましょう。」
外を旅する事で、大地を踏みしめる人の生き方を取り戻しなさい。
幽鬼のように日長一日神殿に閉じこもっていてはいけない。
じっと見つめる私の前で、彼は初めて私を見た。
翠色の瞳が焦点を結び、真っすぐにこちらを見つめていた。
自分を守るために閉じこもっていた心が、やっと開いたのだ。
「真実の島へ、行こう。」
力強い言葉。
熱い意思を閉じ込めた瞳の輝き。
先程までの青年と、同一人物とは思えない程の変化だった。
ドキリとした。
今だから言える。
あの時、私は彼に魅せられたのだ。
あの瞬間から、私の旅は彼に寄り添う旅になったのだ。
長い間、気付く事すら出来なかったけれど…。
『アヴィン…。』
今はどこを歩いているのだろう。
いくつかは託宣の場所に辿り着いただろうか。
そして、
今も……
今も、私を許していないのだろうか。
本編は気長~にお待ちくださると嬉しいです(笑)。