旅立ち
(From 英雄伝説IV-V 朱紅い雫と海の檻歌の狭間にて)by 澪さま
この国へやってきたのは、好奇心と、冒険心と、それから魔法の修行のためだった
そんな中で、旅で出会う人との会話を楽しみ、時に賢者に教えを乞い、
本来なら一生出会うはずのなかった人達と友情を育む
それが旅の醍醐味
ただし、それは一時の感情で、この国を去るときには全て置いていくはずのもの
この国は「旅先」であり、
そこで出会った人達もまた一時の友人であり、
空間を隔て、時を隔てれば忘れ去るもの
いや、そのはずだった
そんな旅から6年
今、自分の横には一人の男がいる
当時まだようやく青年の域に達したばかりだった青年は、今では立派な男となった
だが、船縁から前を見つめる真っ直ぐな瞳はあの頃と何ら変わってはいない
「手伝ってくれますか?」
無理を承知で尋ねた自分に、笑って頷いた彼
「ミッシェルさんの頼みなら」
きっとそう言ってくれるだろうと予測していた自分に気がついて、
「でも、それは自分のためでもあるから」
そう断言する彼の成長振りが嬉しくて、
思いもかけなかった自分の心に戸惑うばかりだ
「長い旅になるかもしれません。危険ではないとも言いきれません」
それでも一緒に来て欲しくて
「もちろん、承知している」
笑って答えてくれたのが嬉しくて
自分で自分がわからなくなる
「ありがとうございます」
辛うじてそう伝えると
「今更改まってそんなことを言う仲でもないのに」
笑った顔が6年前の笑顔にだぶる
あなたはいつも予想外な存在だ
6年前
情熱だけの青年だと、
悲しみに埋没してしまった哀れな青年だと、
そう思っていた私を見事に裏切ってくれたあなた
今もあなたはそうやって6年の月日を一瞬にして飛び越えてしまう
私のテレポートでさえ超えられなかった月日を
時間を超え
空間を超え
こうやってこの年下の青年との交友は続いていくのだろう
きっと、いつまでも
再び旅が始まる
澪さんからお年賀メールで頂いた作品です。
アップが遅くなってしまってすみませんでした。
問題はひとえに「絶対描く!」と言っていたカットにありました。
上の絵ではとっても涼やかなミッシェルさんなんですけど、下書きの時は似ても非なる怪しい男状態でした~。目線が「さらっ」と流れないのです(^^;)凝視しちゃう…。
ただでさえ私が描くと問題ありっぽいというのに~!!
そんなわけで下書きから2週間も熟成(放ったらかしとも言う…)させて、やっと陽の目を見る事が出来ました。
お話については、私などが茶々を入れるより、それぞれ思いにふけっていただいた方が・・・。
エルフィルディンにやって来た事、それがミッシェルさんの人生を豊かにする事になったのだったら、出会った人たちも本望だと思うのです。例え遠く離れていても、心に思い描ける友がいるというのは心強いですよね。
出会った順で(笑)、アヴィンが一番印象の強い友だったら最高だなvというのが密かな願いです。だって、どうしてトーマスとああまで意気投合するのかわかんない~。年の差、なのでしょうか。それともガガーブ越えのインパクトか…。
そういえば、このコーナーの「アヴィンを誘いに来るミッシェルさん」のお話は二本目なのですね。 いつか私自身も書いてみたい場面です。アヴィンは妻子持ちだそうですが、その時のマイルの状況がどのくらい泥沼なのか、ちょっと興味があったりして(笑)。
あら~、すっかり話がそれているような…(汗)。澪さん、どうもありがとうございました!