Windows朱紅い雫|小話
ミッシェル
「いらっしゃい。お茶を入れましょうね。」
アヴィン
「ありがとう、ミッシェル。ここならくつろいで良いんだよな?」
ミッシェル
「そうですよ。表・・・ゲームとは切り離して、私たちを遊ばせてくれる場所のようです。
せっかくだから休ませてもらいましょう。」
アヴィン
「じゃ、まず、二度の助っ人御苦労様。本当に助かった。」
ミッシェル
「(笑)何を言うかと思ったら。手堅くゲームネタですか。
アヴィンこそ、お疲れ様でした。素敵な伴侶にめぐり合えたようですね。」
アヴィン
「・・・まあな。(大テレ)」
ミッシェル
「・・・ごちそうさま。私も賢者様に同行させてもらったりと、たぐいまれな経験をさせていただきましたよ。
私のなすべき事がおぼろげに見えたような・・・そんな気もしました。」
アヴィン
「10年、いや50年後に降りかかる厄災ってやつだな。そんな物が見えたって事は、ベリアス卿はけっして根っからの悪人ではなかったって事だよな。」
ミッシェル
「ベリアス卿のことはルティスさんやマイルさんが良くご存知でしょう。私が気にかかるのは10年後という厄災の方。この地の災いが取り除かれ、私の故郷にも災いの種がないとすると・・・
おや、お茶が。」
アヴィン
「どうしたんだ?」
ミッシェル
「時間を置き過ぎました。ちょっと我慢して飲んでくださいね。」
アヴィン
「(ゴクン)・・・う・・・渋い。」
ミッシェル
「アヴィンが人の興味を引くことを言うからですよ。私にだって、時を忘れるくらい夢中になれることがあるんですから。」
アヴィン
「二つの世界の未来を考えることがか? 途方もないよな。」
ミッシェル
「あなたは今のままが良いですよ。下手に世界の事など見ようとせずに、自分の大事な世界を守っていけばいい。途方もないことは私の領分です。それに、世界は二つじゃありませんよ。」
アヴィン
「え?」
ミッシェル
「少なくとももう一つ。大蛇の背骨の向こう側です。」
アヴィン
「大蛇の背骨?」
ミッシェル
「エル・フィルディンではレギオン山脈という名前が付いているようですね。あの向こうにも人の営みがあるはずです。」
アヴィン
「もしかして、わかるのか?」
ミッシェル
「なんとなく、ね。」
アヴィン
「俺、本当にすごい人と知り合いになったんだな。」
ミッシェル
「やめてくださいよ。今度は何も・・・空間転移も見せていないのだから。」
アヴィン
「見ていないけど、消えたじゃないか。」
ミッシェル
「アヴィンが胡散臭そうに見るんだもの。いたたまれなくなって逃げたんですよ。」
アヴィン
「そうだったのか。悪かった、謝るよ。」
ミッシェル
「ここはくつろげる場所だって、言ったでしょう?他人行儀な事はしないで。悲しくなってしまいます。」
アヴィン
「そんなつもりじゃないよ。・・・えっと、お茶のお代わり、もらえるかな?」
ミッシェル
「はい(嬉)。」