Windows朱紅い雫|小話
トーマス
「やっ、アイメルちゃん、久しぶり。」
アイメル
「トーマスさん? ご無沙汰しています。今お兄ちゃん達いないんですけど。」
トーマス
「ありゃ、ルティスさんもいないのか。しまったな。」
アイメル
「北の森へ行っているから、しばらく待っててくれたら・・。急ぎのご用事ですか?」
トーマス
「んーん、ちっとも。じゃ、お言葉に甘えて待たせてもらうよ。お兄ちゃんのいないときじゃないと、アイメルちゃんともゆっくり話も出来ないからさ。」
アイメル
「(笑)お兄ちゃん、悪気はないんですけど・・・。」
トーマス
「そうは言ってもなぁ。ま、大事にしたいアヴィンの気持ちもわかるんだが、食事にも誘わせてくれないもんなぁ。」
アイメル
「ごめんなさい(笑)。ところで、何かあったんですか?」
トーマス
「ルティスさんにさ、話すことがあって。・・・アイメルちゃん、兄弟が離れて暮らすって、どう思う?いや、どう思った?」
アイメル
「え?」
トーマス
「・・・ルカのことなんだ。」
アイメル
「ルティスさんの弟さんですね。」
トーマス
「俺、ルカを船に乗せたいんだよ。でもさぁ、あの二人も二人っきりの肉親だろう。まずいかなぁって思ってさ。」
アイメル
「・・・・・・。トーマスさん、今お茶を入れますね。」
トーマス
「あ、ああ。」
アイメル
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてくださいね。」
トーマス
「ん、サンキュ。」
アイメル
「・・・あの。私思うんですけど、以前、お兄ちゃんの行方も知らないときは、私も不安でたまりませんでした。だけど、もし今、お兄ちゃんが旅に出たとしたら、私は待っていられるような気がするんです。元気でいるって知っているから。」
トーマス
「・・・・・・。」
アイメル
「トーマスさんの船はガガーブを越える船だって、お兄ちゃんから聞きました。ルティスさんが私と同じ風に考えるかどうかはわからないけど・・・。どんなに遠くに離れていても、ルカさんの無事を信じる事が出来る人だと思うんです。きっと、大丈夫ですよ。 ・・・それに、ルティスさんにはお兄ちゃんが付いているし。」
トーマス
「そっか。ありがとな、アイメルちゃん。 じゃあ俺も、正面から堂々と言ってみるかな。
・・・にしても、あの二人には大分のろけられてるんじゃないのか? 」
アイメル
「えっ?(真っ赤)そんなことないです。お兄ちゃんもルティスさんも優しいし。」
トーマス
「あっそう。」
アイメル
「もう、いやなトーマスさん。」
トーマス
「今度ボルンに停泊するときに、船に招待してやるよ。アヴィンもルティスさんも一緒にな。でも、あの二人はルカたちに任せて、アイメルちゃんは俺がエスコートだ。な、いいだろ。」
アイメル
「えっ、えっ・・・。」
トーマス
「(笑)冗談だよ。アイメルちゃんも兄ちゃん離れしなきゃな。さあて、ちょっくら森の中を探検してくるよ。お茶、美味しかったぜ。」